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【2024/04/27 01:01 】 |
顧問弁護士(法律顧問)が扱う問題:安全配慮義務
顧問弁護士(法律顧問)としてよく受ける問いについてまとめていきます。なお、当ブログの情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きをしたものですので、(気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があり、また、書いた当時は最新の情報であっても現在では古い情報となっている可能性もあります。実際に解決することが難しい法律問題に直面した場合には、ご自身で判断してしまうのではなく、法律問題を解決する専門家(顧問弁護士・法律顧問など)に個別にご相談いただくことをお勧めします。

今回扱うテーマは、安全配慮義務です。労働契約法5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と安全配慮義務を規定していますが、その義務の具体的な内容は不明確です。この義務が、作業中の事故や職業病などで問題になることは当然ですが、これらに限らず、労働者の心身の健康に配慮すべき義務も安全配慮義務に含まれます。この論点が問題になったのが、以下のいわゆる電通事件の最高裁判例です。この判例からは、会社側としては、安全配慮義務の一環として健康配慮義務が存在することに注意し、労働時間管理を適切に行い、場合によっては労働者に休暇を取るよう業務命令を出す等の措置を講ずる必要があるといえます。


同判決は、まず健康配慮義務の一般論について、「労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは、周知のところである。労働基準法は、労働時間に関する制限を定め、労働安全衛生法六五条の三は、作業の内容等を特に限定することなく、同法所定の事業者は労働者の健康に配慮して労働者の従事する作業を適切に菅理するように努めるべき旨を定めているが、それは、右のような危険が発生するのを防止することをも目的とするものと解される。これらのことからすれば、使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の右注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきである。」と判断しました。

続いて、具体的事実へのあてはめとして、以下のように述べました。

「一審被告のラジオ局ラジオ推進部に配属された後に一郎が従事した業務の内容は、主に、関係者との連絡、打合せ等と、企画書や資料等の起案、作成とから成っていたが、所定労働時間内は連絡、打合せ等の業務で占められ、所定労働時間の経過後にしか起案等を開始することができず、そのために長時間にわたる残業を行うことが常況となっていた。起案等の業務の遂行に関しては、時間の配分につき一郎にある程度の裁量の余地がなかったわけではないとみられるが、上司であるAらが一郎に対して業務遂行につき期限を遵守すべきことを強調していたとうかがわれることなどに照らすと、一郎は、業務を所定の期限までに完了させるべきものとする一般的、包括的な業務上の指揮又は命令の下に当該業務の遂行に当たっていたため、右のように継続的に長時間にわたる残業を行わざるを得ない状態になっていたものと解される。」

「ところで、一審被告においては、かねて従業員が長時間にわたり残業を行う状況があることが問題とされており、また、従業員の申告に係る残業時間が必ずしも実情に沿うものではないことが認識されていたところ、Aらは、遅くとも平成三年三月ころには、一郎のした残業時間の申告が実情より相当に少ないものであり、一郎が業務遂行のために徹夜まですることもある状態にあることを認識しており、Bは、同年七月ころには、一郎の健康状態が悪化していることに気付いていたのである。それにもかかわらず、A及びBは、同年三月ころに、Aの指摘を受けたBが、一郎に対し、業務は所定の期限までに遂行すべきことを前提として、帰宅してきちんと睡眠を取り、それで業務が終わらないのであれば翌朝早く出勤して行うようになどと指導したのみで、一郎の業務の量等を適切に調整するための措置を採ることはなく、かえって、同年七月以降は、一郎の業務の負担は従前よりも増加することとなった。その結果、一郎は、心身共に疲労困ぱいした状態になり、それが誘因となって、遅くとも同年八月上旬ころにはうつ病にり患し、同月二七日、うつ病によるうつ状態が深まって、衝動的、突発的に自殺するに至ったというのである。原審は、右経過に加えて、うつ病の発症等に関する前記の知見を考慮し、一郎の業務の遂行とそのうつ病り患による自殺との間には相当因果関係があるとした上、一郎の上司であるA及びBには、一郎が垣常的に著しく長時間にわたり業務に従事していること及びその健康状態が悪化していることを認識しながら、その負担を軽減させるための措置を採らなかったことにつき過失があるとして、一審被告の民法七一五条に基づく損害賠償責任を肯定したものであって、その判断は正当として是認することができる。論旨は採用することができない。」

ご不明な点がありましたら、顧問弁護士(法律顧問)にお問い合わせください。また、労働者の方で、借金返済解雇の問題などの法律問題でお悩みの方も、弁護士にご相談ください。なお、法律は絶えず改正され、また、日々新たな裁判例・先例が積み重なっていきます。そして、法の適用・運用のトレンドもその時々によって変わることがあります。また、事例ごとに考慮しなければならないことが異なるため、一般論だけでは最善の問題解決に結びつかないことがあります。特にこのブログで紹介することの多い労務問題(残業代の請求、サービス残業など)は、これらの傾向が顕著です。この点についてはご留意いただく必要があります。
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【2010/07/20 14:08 】 | 残業代請求
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