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このブログでは、未払い残業代請求について触れている裁判例を紹介しています(つづき)。
一 請求原因1乃至3項の事実については、当事者間に争いがない。 (証拠略)によると、原告は昭和六一年一一月二一日から同年一二月二〇日までの間に休日出勤4日、時間外労働(残業)八四時間五〇分、深夜労働(残業)一三時間一〇分を行っていることが認められる。 二 (証拠略)前掲原告本人(但し、後記措信しない部分を除く。)及び被告代表者の各供述によると、被告代表者の臼井は、かねてから被告の人事、経理関係等のいわゆる総務全般を同人に代わって処理できる人物を社員として採用したいと考え、顧問の村上公認会計士に適当な候補者の紹介を依頼していたところ、同人が原告を紹介してきたので面接の上即決して採用したこと、臼井が原告を採用した直後の契機は、緊要であった被告の九月期の決算を早急に完了させるためであり、この点で、昭和二八年専修大学経済学部卒業後会社こそ転々としていたけれど、その間一貫して経理事務に従事してきた原告を適任者と見なしたからであるが、原告の職務がそれに尽きるものではなく、即ち、被告には一年間の売上げが約一三億円弱あり、組織として、総務局、旅行事業局、出版事業局、管理室を置いているものの、当時の被告の人員は社員が併せて四、五名で、他に常時雇用されている数名のアルバイトがいる程度であるところから、臼井は原告に対して経理のみならず人事、庶務全般に及び事務を管掌することを委ねたこと、そのため、被告は、原告を総務局次長として任用し、基本給として年令給一五万〇八〇〇円、職能給七万九六〇〇円を、この他に手当として、役職手当三万円、職務手当五万円、家族手当二万円を支給していたこと、そして、被告の就業規則には、役職手当の受給者に対しては時間外労働手当(残業代)を支給しない旨の規定があること、以上の事実が認められ、原告本人の供述中には、原告は臼井から面接のときに、試用期間が三カ月で当分の間の給与を三三万〇四〇〇円とすることを告げられたに過ぎず、役職等は決まっていなかったとする部分があるが、前掲各証拠に照らすと措信できない。 右に認定した事実によると、被告において原告は労働基準法四一条二号の監督若しくは管理の地位にある者に該当していたというべきであるから、同法三七条の時間外、休日及び深夜労働(残業)の割増賃金(残業代)に関する規定が同法一四条本文によって原告に対し適用にならないことは明らかである。 しこうして、監督若しくは管理の地位にある者の時間外労働(残業)等について割増賃金(残業代)を支給するか否かは専ら就業規則の定めによると解せられるところ、就業規則によると原告に対しては時間外手当(残業代)を支給しないことになっているのであるから、原告の割増賃金(残業代)の請求はその根拠を欠くといわねばならない。 三 以上のとおりとすると、原告の請求はその余について判断するまでもなく理由のないことが明らかであるから、これを棄却することにし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。 企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、企業法務に強い顧問弁護士にご相談ください。その他にも、個人の方で、交通事故、解雇、原状回復義務・敷金返還請求や借金の返済、ご家族の逮捕などの刑事弁護士の事件、遺言相続などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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